ICN分子の光分解反応の解析
   

我々の周りにある物質は様々な分子によって構成されています。 化学者は化学反応を利用することで、目的の生成物を作り出します。 しかし、多くの場合、化学反応において得られる情報は、 どの様な反応物からどの様な生成物が得られるかといったことが中心となり、 その反応過程はブラックボックスになっています。 化学反応をうまく制御し、より効率的に、より安全に、 目的の生成物を作り出すためには、ブラックボックスの中身を理解することが必要になります。 そこで我々は、理論化学とコンピュータを駆使することによって、 反応分子がどの様な相互作用を受けて変形し、 化学結合がどの様に変化し、生成物を生じるかを シミュレートする研究を行っています。 つまり、化学反応を「見る」ことを目指しているのです。

化学反応のモデルの1つとして、ICN分子の光分解反応を扱っています。 生成物であるCNラジカルは様々な回転準位に分布しています。 この回転準位の微細構造を調べると、その分布は非統計的になっていることが報告されています。 我々は理論化学の手法を用いた反応解析により、このような特徴が生じる原因を解明し、 さらには光分解反応に関する詳しいダイナミクスの理解を目指しています。