I3-分子の光分解反応の解析
   

光反応と聞いて、みなさんは何をイメージするでしょう?光が目に入って物が見えるのも、オゾン層破壊の原因も、光反応によるものです。分子にある波長の光が当たると、その分子は励起状態となります。その後、分子の構造や電子状態がどのように変化していくのかを知ることは、その反応を理解する上で非常に重要で面白いことです。反応解析の面白さは光反応に限りませんが、私達が特に光反応に着目しているのは、次のような理由からです。

化学反応の多くは電子基底状態で進行するのに対し、光反応では、複数の電子状態を考えることが必要となります。そのため、反応の途中で状態間の遷移が起き、複数の生成物が観測されます。では、その遷移は「いつ、どのような構造で、どのような割合で」起こるのでしょうか?そこに興味を持って研究を行っています。
また、I3-には興味深い実験結果が多数あり、反応過程の詳細を調べることはとても面白いと考えています。この分子は重原子系で、相対論効果のひとつであるスピン軌道相互作用が無視できません。そこが難しいところなのですが、当研究室では高い精度で計算に含め、電子状態とポテンシャルエネルギーを求めています。そのポテンシャルエネルギー上の運動を解くことによって、実験で得られている結果を理論化学的に説明することを目指しています。
反応解析の楽しさは、化学反応の最初(反応物)と最後(生成物)だけでなく、「その途中に何が起きているんだろう?」という疑問を少しずつ自分達で解決していくところにあると感じています。