電子共鳴状態計算における複素数基底関数の最適化
   

量子力学的共鳴状態は、有限の寿命で崩壊する一時的な準束縛状態です。量子力学的共鳴状態はその生成機構によって2種類に分類されます。第一の共鳴として、標的の内部状態には直接的に依存しないで、入射粒子が感じるポテンシャルの概形によって起こるshape
resonanceがあります。第二の共鳴は、入射粒子と標的の衝突により、標的が一時的に励起され、その間入射粒子は準束縛状態に捕捉されるもので、標的の内部状態の変化を伴うこの第二の共鳴をFeshbach resonanceといい、多くの二電子励起状態が該当します。shape resonanceの例として、水素分子負イオン、Feshbach resonanceの例として、水素分子二電子励起状態が挙げられます。(下図)

共鳴位置と寿命の情報を含む量子力学的共鳴状態エネルギー固有値は複素数であり、エルミートなハミルトニアンの規格化可能固有関数の固有値としては得られません。しかし、電子の座標を偏角θだけ回転させる複素座標法により、共鳴状態の固有関数は規格化可能になるため、複素座標法における変分原理を用いて、通常の基底関数展開法でその固有値問題を解くことが可能となります。 複素座標法を用いた電子系共鳴状態の計算には、束縛状態と共鳴状態を記述する実数基底と、連続状態を記述する複素数基底が必要です。私達の研究室では、数値計算量を軽減するために、従来多く必要とされていた複素数基底の個数を最小限にし、かつ精度を落とさないように、解析的微分法によりその複素数軌道指数を最適化する計算方法を開発しています。